Friday, April 30, 2004
TLF Project Update
なかなか思ったように捗らない。毎週決まった時間に授業がある訳ではないので、どのくらいの頻度で打合せを持つか、どの程度の時間を割くかは各グループの自主性に委ねられている。6名のメンバーの中には、案件(クライアント)を持ってきた僕と同じような責任感を持って取り組んでくれる人もいれば、どちらかと言うと「消える」人も出てくる。消えると言っても打合せに参加しないというような明らかなサボタージュではないのだが、その場では発言しても約束したアウトプットを出さなかったり、なるべく負担のかからないように黙っている人が出てくるのである。
日本でも会社で同じような気持ちを何度か味わったことがあるが、「いろいろ忙しい」という言い訳でアウトプットを出さない人がいるのはどうやら万国共通らしい。プロジェクトに対する思い入れにある程度の違いがあるのは仕方ないとしても、もう少し緊張感を共有してほしいと思うこともしばしばである。アウトプットの面でもある程度自分がリーダーシップを発揮しなければならないという状況は当然想定していたので、まずは僕が基礎的なリサーチを行い、市場の概観や潜在顧客、競合各社の状況について、デッドラインを先読みしてメンバーに提示する。ただメールで送っておいたこれらの資料に目を通さずに打合せに来るメンバーもおり、「なんだかやばいかも」という危機感をにわかに持ち始める。
プロジェクトには担当教授が一人ずつアサインされ、適宜教授の指示、アドバイスを仰ぐことになっているのだが、我々の担当教授はやや「はずれ」で、これまでは実りのある打合せを持てていない。しかも一回当り20分程度という時間では、話せる内容にも限りがある。
メンバーの一人はこういう「公の場」でとても力を発揮してくれる。教授の質問にも弁舌巧みに切り返し、我々のプロジェクトが問題意識を高く持って、着実に進んでいるように見せてくれる(完全に嘘ではないが)。教授がつける「成績」という点を考えれば、それはそれで貢献と言えなくもない。ただ彼はいつも木曜の午後からニューヨークへ戻ってしまい、月曜まで帰って来ないので、今のところ当初期待したような実質的な貢献はしてくれていない。打合せやメールで「こないだ分担した仕事終わった?」と軽くジャブを入れるのだが「ごめん。まだできていないんだけど、数日中に取り掛かるよ」と言ったきりいつもなしのつぶてである。それ以上強く要求できない自分も悪いのか。
一人は冗談好きで良くしゃべるのだが、限られた打合せの時間中にしばしば話を脱線させたがるので、たまにイライラしてしまう。ただそこで雰囲気を壊すのはチームにとってマイナスなので、なるべくそれには乗っかるようにしつつ、すぐに本筋に話を戻すようにしている。ムードメーカーとして彼の存在は貴重である。
一人は完全に「消えて」しまっている。元々おとなしいタイプなのだが、打合せでの発言も少なく、割り当てた小グループでの作業もどこまでやってくれているのか見えてこない。普段はとてもナイスガイで、個人的には一番仲がいいだけに難しいところである。
残りの二人は非常に前向きに取り組んでくれている。一人はクライアントとの打合せや、毎週のチーム打合せの議事録作成を買って出てくれ、きっちり記録として残してくれるのでとても助かっている。とても几帳面な性格で、デッドラインを過ぎそうな案件にはメールでアラートを流してくれたりする。教授との連絡窓口も率先して引き受けてくれた。
もう一人は実質的なアウトプットを出してくれている。今回のプロジェクトでは基本事項を共有した後、3人ずつの小グループに分けて、「マーケティング」と「ストラテジー」を並行して進めているのだが、彼女は前者のマーケティングを引き受けてくれている。この「マーケティング」は今回のプロジェクトのキーとなる部分で、一応「ストラテジーチーム」に身を置いている僕もできるだけ関与するようにしている。
オンラインサーベイをするに当って質問項目の洗い出しがなかなか進まなかった時は、僕が「ストラテジー側」のアウトプットを出し続け、「マーケティングチームの方は進捗はどう?」とお尻をたたいたのだが、彼女はこれに即座に反応し、マーケティングチームを引っ張ってそれなりに考えられたものをきっちり作ってきてくれた。ただ細かく見ていくといろいろ穴があり、またこうしたマーケティングを業務として実際に経験しているのは僕だけのようなので、「そろそろ本腰を入れないと本当にまずい」と危機感を募らせ、以下のようなメールを打ってメンバーを招集する。
Great job, guys. Let me give you some comments regarding survey questions.
We should limit answers at most 5 or 6. In such cases, you usually combine similar answers. For example, as for question 6, "didn't work" and "data seemed inaccurate" seem to be somewhat similar. Also, "too much to hassle to use" and "too confusing to program" look almost identical. "data not easy to interpret" might be irrelevant, and so on. Please use MECE (Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive) approach.
Overall, the number of questions should be less, say at most ten. For example, question 8 seems to be too complicated. I don't think question 9 is necessary, etc.
We tend to want as much information as possible, as XXX mentioned, but considering respondents, who don't have much time to devote, we need to make it as concise as possible. In addition, clients also tend to add more questions most of the time. As for the information we couldn't get in survey, we can complement by interviews or focus group. Don't be afraid to be too concise.
By the way, these questions are so critical to our final reports that we need to discuss a little more. I don't think all of us can meet, but why don't we meet some time this week?
なるべく早くという僕の要望で結局翌日に集まることになったのだが、今回は妥協をせず、全て自分の考えを通すくらいの気合いで打合せに出向く。僕以外に3名(全てマーケティングチームのメンバー)が参加してくれた。彼らは彼らなりに考え抜いた質問票に思い入れがあるので、なるべく不要な部分はカットし、また全体としての統一性(Consistency)を持たせようとする僕にしばしば反論を主張してくる。
早口でまくし立てられるとつい「まあそうだね。じゃあそれで行こう」と言ってしまいがちなのだが、今日ばかりは一つ一つ順番に「なぜこれをすべきか、すべきでないか」ということを自分の経験を踏まえて一生懸命説明する。幸いマーケティングチームを取りまとめてくれている学生が非常に柔軟かつ論理的思考の持ち主で、僕の説明に説得力がある限り「確かにその通り」と言ってどんどん取り入れてくれたので、1時間半に渡る打合せも思った以上にスムーズに進んだ。
さすがにいくつかの妥協は強いられたが、チームで仕事をしている以上仕方のないことであり、またいつも自分が正しい訳ではないので、メンバーのモチベーションを保ちつつ、全体として間違った方向に進んでいなければ現段階では大きな問題ではない。むしろ自分の考えを押し通すより更に良い結果が得られるかもしれない。こういう「階層のないチーム」でいかにリーダーシップを発揮するか、チームワークを機能させるかという点は、僕がビジネススクールで学ぶに当って自分に課した大きな命題の一つである。その意味では今まさにその状況を経験できているのかもしれない。
日本でも会社で同じような気持ちを何度か味わったことがあるが、「いろいろ忙しい」という言い訳でアウトプットを出さない人がいるのはどうやら万国共通らしい。プロジェクトに対する思い入れにある程度の違いがあるのは仕方ないとしても、もう少し緊張感を共有してほしいと思うこともしばしばである。アウトプットの面でもある程度自分がリーダーシップを発揮しなければならないという状況は当然想定していたので、まずは僕が基礎的なリサーチを行い、市場の概観や潜在顧客、競合各社の状況について、デッドラインを先読みしてメンバーに提示する。ただメールで送っておいたこれらの資料に目を通さずに打合せに来るメンバーもおり、「なんだかやばいかも」という危機感をにわかに持ち始める。
プロジェクトには担当教授が一人ずつアサインされ、適宜教授の指示、アドバイスを仰ぐことになっているのだが、我々の担当教授はやや「はずれ」で、これまでは実りのある打合せを持てていない。しかも一回当り20分程度という時間では、話せる内容にも限りがある。
メンバーの一人はこういう「公の場」でとても力を発揮してくれる。教授の質問にも弁舌巧みに切り返し、我々のプロジェクトが問題意識を高く持って、着実に進んでいるように見せてくれる(完全に嘘ではないが)。教授がつける「成績」という点を考えれば、それはそれで貢献と言えなくもない。ただ彼はいつも木曜の午後からニューヨークへ戻ってしまい、月曜まで帰って来ないので、今のところ当初期待したような実質的な貢献はしてくれていない。打合せやメールで「こないだ分担した仕事終わった?」と軽くジャブを入れるのだが「ごめん。まだできていないんだけど、数日中に取り掛かるよ」と言ったきりいつもなしのつぶてである。それ以上強く要求できない自分も悪いのか。
一人は冗談好きで良くしゃべるのだが、限られた打合せの時間中にしばしば話を脱線させたがるので、たまにイライラしてしまう。ただそこで雰囲気を壊すのはチームにとってマイナスなので、なるべくそれには乗っかるようにしつつ、すぐに本筋に話を戻すようにしている。ムードメーカーとして彼の存在は貴重である。
一人は完全に「消えて」しまっている。元々おとなしいタイプなのだが、打合せでの発言も少なく、割り当てた小グループでの作業もどこまでやってくれているのか見えてこない。普段はとてもナイスガイで、個人的には一番仲がいいだけに難しいところである。
残りの二人は非常に前向きに取り組んでくれている。一人はクライアントとの打合せや、毎週のチーム打合せの議事録作成を買って出てくれ、きっちり記録として残してくれるのでとても助かっている。とても几帳面な性格で、デッドラインを過ぎそうな案件にはメールでアラートを流してくれたりする。教授との連絡窓口も率先して引き受けてくれた。
もう一人は実質的なアウトプットを出してくれている。今回のプロジェクトでは基本事項を共有した後、3人ずつの小グループに分けて、「マーケティング」と「ストラテジー」を並行して進めているのだが、彼女は前者のマーケティングを引き受けてくれている。この「マーケティング」は今回のプロジェクトのキーとなる部分で、一応「ストラテジーチーム」に身を置いている僕もできるだけ関与するようにしている。
オンラインサーベイをするに当って質問項目の洗い出しがなかなか進まなかった時は、僕が「ストラテジー側」のアウトプットを出し続け、「マーケティングチームの方は進捗はどう?」とお尻をたたいたのだが、彼女はこれに即座に反応し、マーケティングチームを引っ張ってそれなりに考えられたものをきっちり作ってきてくれた。ただ細かく見ていくといろいろ穴があり、またこうしたマーケティングを業務として実際に経験しているのは僕だけのようなので、「そろそろ本腰を入れないと本当にまずい」と危機感を募らせ、以下のようなメールを打ってメンバーを招集する。
Great job, guys. Let me give you some comments regarding survey questions.
We should limit answers at most 5 or 6. In such cases, you usually combine similar answers. For example, as for question 6, "didn't work" and "data seemed inaccurate" seem to be somewhat similar. Also, "too much to hassle to use" and "too confusing to program" look almost identical. "data not easy to interpret" might be irrelevant, and so on. Please use MECE (Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive) approach.
Overall, the number of questions should be less, say at most ten. For example, question 8 seems to be too complicated. I don't think question 9 is necessary, etc.
We tend to want as much information as possible, as XXX mentioned, but considering respondents, who don't have much time to devote, we need to make it as concise as possible. In addition, clients also tend to add more questions most of the time. As for the information we couldn't get in survey, we can complement by interviews or focus group. Don't be afraid to be too concise.
By the way, these questions are so critical to our final reports that we need to discuss a little more. I don't think all of us can meet, but why don't we meet some time this week?
なるべく早くという僕の要望で結局翌日に集まることになったのだが、今回は妥協をせず、全て自分の考えを通すくらいの気合いで打合せに出向く。僕以外に3名(全てマーケティングチームのメンバー)が参加してくれた。彼らは彼らなりに考え抜いた質問票に思い入れがあるので、なるべく不要な部分はカットし、また全体としての統一性(Consistency)を持たせようとする僕にしばしば反論を主張してくる。
早口でまくし立てられるとつい「まあそうだね。じゃあそれで行こう」と言ってしまいがちなのだが、今日ばかりは一つ一つ順番に「なぜこれをすべきか、すべきでないか」ということを自分の経験を踏まえて一生懸命説明する。幸いマーケティングチームを取りまとめてくれている学生が非常に柔軟かつ論理的思考の持ち主で、僕の説明に説得力がある限り「確かにその通り」と言ってどんどん取り入れてくれたので、1時間半に渡る打合せも思った以上にスムーズに進んだ。
さすがにいくつかの妥協は強いられたが、チームで仕事をしている以上仕方のないことであり、またいつも自分が正しい訳ではないので、メンバーのモチベーションを保ちつつ、全体として間違った方向に進んでいなければ現段階では大きな問題ではない。むしろ自分の考えを押し通すより更に良い結果が得られるかもしれない。こういう「階層のないチーム」でいかにリーダーシップを発揮するか、チームワークを機能させるかという点は、僕がビジネススクールで学ぶに当って自分に課した大きな命題の一つである。その意味では今まさにその状況を経験できているのかもしれない。
Tuesday, April 27, 2004
MBA World Cup is Coming Up
今週末にMBA World Cupというサッカーの一大イベントがTuckで開催される。春にTuck、秋にYaleで年に二度開かれるのだが、Tuckはここのところ二連覇を果たしており、三連覇がかかる重要な大会となる。
一方僕はと言うと、Team Aが前回優勝メンバーで固まっているため、Team Bに選ばれることを目標に、ここのところ夕方と週末の練習に顔を出していた。メンバーは各チーム20名限定、しかも卒業を間近に控えた2年生優先という事情もあり、参加人数、顔ぶれをあげていくと、僕はどう考えても当落線上である。来年は「2年生特権」で出られるとしても、それでは単なる思い出作りになってしまう。これからのTuck生活を充実したものにするためにも、是非とも出たい大会である。
しかしメンバー発表を数日後に控えた木曜日、ありえない事故が起こる。男女混合のソフトボール大会(こちらは単なるお遊びイベント)が始まり、アジアの学生から「どうやってプレーするのか教えてくれ」と声がかかったため、臨時コーチとしてバッティングの指導をすることになった。Alice, Yali, Te-lingの中国人女の子トリオはメキメキ上達して歓声をあげながら快調に打ち続ける。Richardは運動神経抜群なので上から投げても外野まで軽々と飛ばしていく(君に教えることは何もありません)。最後に打席に立った日本人のS氏が「野球は初心者」ということで、女の子と同じ位置まで近づいて下からボールをゆっくりと投げる。と、その初球をS氏がフルスイング。完璧に真っ芯でとらえた打球が僕めがけて一直線。慌ててグローブではたき落としたものの、左小指を直撃。小指は内出血で一瞬にして紫色。硬式野球部時代にも経験したことのない痛さに「こりゃ折れたな」と完全に意気消沈。既に夕方5時を過ぎていたので救急病院に直行する。(蛇足だが、こちらのソフトボールはなぜか硬式ボールを単に大きくしたものに近く、かなり危険度は高い)
ドクターの言うことには「X線を見る限り問題はないようだ(Pretty Good)。ただ小さい破片(Fractions)が見えなくもない(どっち?)。今の段階では判断できないので、また一週間くらいして再度X線検査を受けなさい」とのこと。漸く、本当に漸く長かった冬が終わり、外でスポーツを楽しめるようになった矢先だけにショックはかなり大きい。しかも普段授業や宿題でしか時間を共にしていない学生たちと一緒にスポーツができるというのは、想像以上に大きな意味がある。まさに「スポーツは世界の共通言語」ということを実感し始めていた。
左小指はバッティングで一番重要な指なので、Team Aにサインアップしたばかりのソフトボールは完全にプレー不可能。買ったばかりのバットを「どうせ使わないから」とキャプテンのRockyに渡しに行く。じっとしているだけでも痛みに耐えかねるくらいなので、恐らくサッカーも無理だろう。あと1週間怪我が遅ければWorld Cupだけは出られたかもしれないのに… などと丸一日悶々とした後「いや、サッカーだけは何としても出る。今年出なければ意味がない」と気持ちを切り替え、(翌日はさすがに休んだものの)日曜の練習に参加することにする。日曜の夜に最終的なメンバー20名が発表されるので、ここで休むことは事実上のリタイヤを意味する。
Team Bは2年生のMartinとPabloがキャプテンとしてメンバーを決める権利を持っている。怪我がひどいと判断されれば、選考基準によって他のコンディションのいい選手が優先されてしまうので、小指に湿布を巻き、両手に手袋をはめてカモフラージュ。怪我のことを知っているPabloから「指はどうだ?」と聞かれたが、"I’m good. No problem."と痛み止めを飲まないと痛くて仕方ない怪我をひた隠す。気合いが違ったのか、この日は走っても疲れ知らず。接触プレーを極力避けつつも、自分としては納得のいくプレーができた。やはり家で悶々としているよりも、こうやって外で体を動かすと気持ちも前向きになってくる。「これで選考から漏れたら仕方がない。すっきりした」と車で迎えに来てくれた妻と話しながら家路につく。
そうは言ったものの、やはり選考の結果が気になって仕方がない。夜にはメールが行くとPabloが言っていたのだが、12時を過ぎても来ない。1時を過ぎてそろそろ寝ようかとベッドに向かうが、もう一度だけチェックしてみようとPCを開くとMartinから"Team List"という題名でメールが届いている。久しぶりにドキドキしながらメールを開けると、長々と選考の基準や、選考に至った経緯が書かれている。この辺りは過剰なまでに他人に気を配るTuckの校風ならではだろうか。
その辺は読み飛ばして下の方まで一気にスクロールしていくと、"The 20 names are the following"の後に名前が並んでいる。Bobbie, Brett, Brian, Chris... あれダメだったか... と諦めかけた矢先、下から三番目にRioという名前が入っていた。単にアルファベット順だったので下の方になっていたのだが、本当に心臓に悪い。もう就寝体勢に入っていた妻のところに駆けつけ「やった!選ばれた!」と報告。妻も「リスクをおかして出た甲斐があったね」と喜んでくれる。30歳のいい大人がこんなことで一喜一憂するのは若干情けなくもある。
後から落ち着いてメンバーを眺めてみると、20名中15名が2年生で占められている。ということは1年生は僅か5名。いくらTeam Bとは言え、かなり狭き門だったようだ。完全に「滑り込みセーフ」である。翌日の練習で、Study Groupが一緒だったBrianと走りながら、「昨日メール見たとき興奮しなかった」と聞いてみると、ガッツポーズを作りながら"Yes!"と小声で叫び、相当嬉しそうである。「あー、もう昨日体力を使い果たしたから今日はやる気出ない」と言うと「実は俺も」「やっぱり?」と笑い合う。どうやらBrianも同じ心境だったようだ。
とにかく一つ目標が達成できたことは(勉強ではないが)本当に嬉しい。後は当日までにしっかりとコンディションを整えて、万全の態勢で試合に臨みたい。
一方僕はと言うと、Team Aが前回優勝メンバーで固まっているため、Team Bに選ばれることを目標に、ここのところ夕方と週末の練習に顔を出していた。メンバーは各チーム20名限定、しかも卒業を間近に控えた2年生優先という事情もあり、参加人数、顔ぶれをあげていくと、僕はどう考えても当落線上である。来年は「2年生特権」で出られるとしても、それでは単なる思い出作りになってしまう。これからのTuck生活を充実したものにするためにも、是非とも出たい大会である。
しかしメンバー発表を数日後に控えた木曜日、ありえない事故が起こる。男女混合のソフトボール大会(こちらは単なるお遊びイベント)が始まり、アジアの学生から「どうやってプレーするのか教えてくれ」と声がかかったため、臨時コーチとしてバッティングの指導をすることになった。Alice, Yali, Te-lingの中国人女の子トリオはメキメキ上達して歓声をあげながら快調に打ち続ける。Richardは運動神経抜群なので上から投げても外野まで軽々と飛ばしていく(君に教えることは何もありません)。最後に打席に立った日本人のS氏が「野球は初心者」ということで、女の子と同じ位置まで近づいて下からボールをゆっくりと投げる。と、その初球をS氏がフルスイング。完璧に真っ芯でとらえた打球が僕めがけて一直線。慌ててグローブではたき落としたものの、左小指を直撃。小指は内出血で一瞬にして紫色。硬式野球部時代にも経験したことのない痛さに「こりゃ折れたな」と完全に意気消沈。既に夕方5時を過ぎていたので救急病院に直行する。(蛇足だが、こちらのソフトボールはなぜか硬式ボールを単に大きくしたものに近く、かなり危険度は高い)
ドクターの言うことには「X線を見る限り問題はないようだ(Pretty Good)。ただ小さい破片(Fractions)が見えなくもない(どっち?)。今の段階では判断できないので、また一週間くらいして再度X線検査を受けなさい」とのこと。漸く、本当に漸く長かった冬が終わり、外でスポーツを楽しめるようになった矢先だけにショックはかなり大きい。しかも普段授業や宿題でしか時間を共にしていない学生たちと一緒にスポーツができるというのは、想像以上に大きな意味がある。まさに「スポーツは世界の共通言語」ということを実感し始めていた。
左小指はバッティングで一番重要な指なので、Team Aにサインアップしたばかりのソフトボールは完全にプレー不可能。買ったばかりのバットを「どうせ使わないから」とキャプテンのRockyに渡しに行く。じっとしているだけでも痛みに耐えかねるくらいなので、恐らくサッカーも無理だろう。あと1週間怪我が遅ければWorld Cupだけは出られたかもしれないのに… などと丸一日悶々とした後「いや、サッカーだけは何としても出る。今年出なければ意味がない」と気持ちを切り替え、(翌日はさすがに休んだものの)日曜の練習に参加することにする。日曜の夜に最終的なメンバー20名が発表されるので、ここで休むことは事実上のリタイヤを意味する。
Team Bは2年生のMartinとPabloがキャプテンとしてメンバーを決める権利を持っている。怪我がひどいと判断されれば、選考基準によって他のコンディションのいい選手が優先されてしまうので、小指に湿布を巻き、両手に手袋をはめてカモフラージュ。怪我のことを知っているPabloから「指はどうだ?」と聞かれたが、"I’m good. No problem."と痛み止めを飲まないと痛くて仕方ない怪我をひた隠す。気合いが違ったのか、この日は走っても疲れ知らず。接触プレーを極力避けつつも、自分としては納得のいくプレーができた。やはり家で悶々としているよりも、こうやって外で体を動かすと気持ちも前向きになってくる。「これで選考から漏れたら仕方がない。すっきりした」と車で迎えに来てくれた妻と話しながら家路につく。
そうは言ったものの、やはり選考の結果が気になって仕方がない。夜にはメールが行くとPabloが言っていたのだが、12時を過ぎても来ない。1時を過ぎてそろそろ寝ようかとベッドに向かうが、もう一度だけチェックしてみようとPCを開くとMartinから"Team List"という題名でメールが届いている。久しぶりにドキドキしながらメールを開けると、長々と選考の基準や、選考に至った経緯が書かれている。この辺りは過剰なまでに他人に気を配るTuckの校風ならではだろうか。
その辺は読み飛ばして下の方まで一気にスクロールしていくと、"The 20 names are the following"の後に名前が並んでいる。Bobbie, Brett, Brian, Chris... あれダメだったか... と諦めかけた矢先、下から三番目にRioという名前が入っていた。単にアルファベット順だったので下の方になっていたのだが、本当に心臓に悪い。もう就寝体勢に入っていた妻のところに駆けつけ「やった!選ばれた!」と報告。妻も「リスクをおかして出た甲斐があったね」と喜んでくれる。30歳のいい大人がこんなことで一喜一憂するのは若干情けなくもある。
後から落ち着いてメンバーを眺めてみると、20名中15名が2年生で占められている。ということは1年生は僅か5名。いくらTeam Bとは言え、かなり狭き門だったようだ。完全に「滑り込みセーフ」である。翌日の練習で、Study Groupが一緒だったBrianと走りながら、「昨日メール見たとき興奮しなかった」と聞いてみると、ガッツポーズを作りながら"Yes!"と小声で叫び、相当嬉しそうである。「あー、もう昨日体力を使い果たしたから今日はやる気出ない」と言うと「実は俺も」「やっぱり?」と笑い合う。どうやらBrianも同じ心境だったようだ。
とにかく一つ目標が達成できたことは(勉強ではないが)本当に嬉しい。後は当日までにしっかりとコンディションを整えて、万全の態勢で試合に臨みたい。
Saturday, April 24, 2004
Jeffrey Immelt
General ElectricのCEOであるJeffrey Immeltがやって来た。Greener Ventures 2004というダートマス大学あげての年に一度のEntrepreneurshipカンファレンスが開催され、キーノートスピーカーとして招かれたのがImmeltである。Immeltはダートマス大学を卒業、1982年にGEに入社、2001年9月にあのJack WelchからCEOのバトンを受け継いだ大物である。GEの126年の歴史の中で9代目のCEOにあたるそうだ。
初めにニューハンプシャー州知事のCraig Bensonのスピーチ(ニューハンプシャーには起業家にとって必要なものが全て揃っており、ここに住んでいるあなた方はそれを独占できて幸運だという冗談も飛び出す)、ダートマス大学プレジデントのJames Wrightの挨拶に引き続き、大きな拍手に包まれてImmeltが登壇する。第一線で活躍する数多くのOBが一同に会し、会場のCook Auditoriumも活気に満ち溢れている。今日ばかりはTuckのPaul Danos学長も単なる脇役である。米国の大学が彼らのような卒業生の組織に強く支えられているということが良く分かる。
ユーモアをふんだんに交えた軽妙な語り口は政治家のそれを思わせるほどで、このくらいの人物になるとやはりあらゆる素養を身につけているものだなと感心させられる。彼は世界のマクロ経済が上向いているという話から切り出し(日本も良くなっているとのこと)、CEOに就任して世界の情勢を見るために日本へ行った話などを披露した後、成功する企業に必要な条件について5つのポイントを説明した。これ自体特に斬新なものではなかったが、以下、印象に残った言葉をいくつか残しておきたい。
「起業家として成功できる人はミシシッピー川を泳いで渡る勇気があり、途中途方にくれて、前を見ても後ろを振り返っても同じ距離がある不安な状態で、また前を向いて泳いでいける人だ」
「成功の鍵は、常に好奇心を失わず、Learn and Teachが同時にできることだ。私はダートマス大学でどうやって学ぶかを学ぶことができた。これは明日のアイデアを自分にもたらしてくれる大切なものであり、これが常に違いを生み出している。私はいつも新しいアイデアを求めてTOYOTAの工場を訪れたり視野を広げるようにしている」
その後、各部屋に分かれて様々なトピック毎にパネルディスカッションが盛んに行われる。僕は"IT and Wireless"に参加。最初にモデレーターであるBoston Globeのコラムニストが「今日ここにいる方々の属性をまずは把握したい」と聴衆に問いかけたのだが、アングラ、メディカル、エンジニアリングスクール、ビジネススクールを含めたダートマスの学生が半分弱、残りは起業家と投資家が半々という顔ぶれ。年配の方も多く含まれている。
このセッションには住宅向けIP電話ベンチャー"Vonage"のCEO、Jeffrey Citron氏も参加しており、今回は彼がお目当てである。Vonageは既に日本の業界関係者の間では名前の知れた存在になっている。1時間という限られた時間では若干消化不良だったので、終了後、彼のところへ下りて行って少し話を聞かせてもらう。こうやってCEOの名刺を気軽にもらえて話ができるというのも日本の日常ではなかなかできない経験かもしれない。
「米国ではブロードバンドの普及速度がかなり緩やかだと認識しているが、Vonageにとって潜在市場を制限する要因になっているのではないか」
「いや米国でも2,400万のブロードバンド加入数があり、十分大きな市場だと思う」
「ただ日本や韓国に比べて普及率では大きく劣っているのでは」
「それはその通り」
「日本や韓国を初めとするアジア市場に進出することは考えているのか」
「既に考えている。まずは香港から入り、中国を目指す。その後、韓国、日本も必然的に参入することになるだろう」
「その場合、販売チャネルはどうするのか」
「Vonageは今やグローバルブランドになりつつあるから、自社でサービスを展開することも十分可能だが、既に顧客基盤を持っているパートナーを探すというのも現実的な考え方だろう」
「その場合、やはりケーブルテレビ会社を第一に考えているのか?既存電話会社は競合という認識を持っているか」
「いやそんなことはない。米国でYahoo!とSBCが提携しているように、既存電話会社とも十分協力していけると考えている」
彼は日本の市場にも精通しており(当然か)、Softbankグループ(Yahoo! Japan)の低価格戦略により既に日本では400万人のVoIP加入者がいるという話にも触れていた。少し話をしただけだが、器量が大きく、洞察に優れ、人間的にも魅力的な好人物という印象を持った。
そう言えばつい先日、FCC(米連邦通信委員会)のChairmanであるMichael Powellもダートマスにやって来た。彼はあのCollin Powellの息子でもあり、米国の通信市場を規制する機関のトップとして日本でも注目される人物である。しかしその日はどうしても外せない所用があり、残念ながら参加できなかった。それにしてもこんな辺鄙な田舎町に、こうした大物たちがわざわざ足を運んでくれるという事実を目にすると、米国におけるダートマス大学の伝統、重みを感じられて嬉しくなる。
初めにニューハンプシャー州知事のCraig Bensonのスピーチ(ニューハンプシャーには起業家にとって必要なものが全て揃っており、ここに住んでいるあなた方はそれを独占できて幸運だという冗談も飛び出す)、ダートマス大学プレジデントのJames Wrightの挨拶に引き続き、大きな拍手に包まれてImmeltが登壇する。第一線で活躍する数多くのOBが一同に会し、会場のCook Auditoriumも活気に満ち溢れている。今日ばかりはTuckのPaul Danos学長も単なる脇役である。米国の大学が彼らのような卒業生の組織に強く支えられているということが良く分かる。
ユーモアをふんだんに交えた軽妙な語り口は政治家のそれを思わせるほどで、このくらいの人物になるとやはりあらゆる素養を身につけているものだなと感心させられる。彼は世界のマクロ経済が上向いているという話から切り出し(日本も良くなっているとのこと)、CEOに就任して世界の情勢を見るために日本へ行った話などを披露した後、成功する企業に必要な条件について5つのポイントを説明した。これ自体特に斬新なものではなかったが、以下、印象に残った言葉をいくつか残しておきたい。
「起業家として成功できる人はミシシッピー川を泳いで渡る勇気があり、途中途方にくれて、前を見ても後ろを振り返っても同じ距離がある不安な状態で、また前を向いて泳いでいける人だ」
「成功の鍵は、常に好奇心を失わず、Learn and Teachが同時にできることだ。私はダートマス大学でどうやって学ぶかを学ぶことができた。これは明日のアイデアを自分にもたらしてくれる大切なものであり、これが常に違いを生み出している。私はいつも新しいアイデアを求めてTOYOTAの工場を訪れたり視野を広げるようにしている」
その後、各部屋に分かれて様々なトピック毎にパネルディスカッションが盛んに行われる。僕は"IT and Wireless"に参加。最初にモデレーターであるBoston Globeのコラムニストが「今日ここにいる方々の属性をまずは把握したい」と聴衆に問いかけたのだが、アングラ、メディカル、エンジニアリングスクール、ビジネススクールを含めたダートマスの学生が半分弱、残りは起業家と投資家が半々という顔ぶれ。年配の方も多く含まれている。
このセッションには住宅向けIP電話ベンチャー"Vonage"のCEO、Jeffrey Citron氏も参加しており、今回は彼がお目当てである。Vonageは既に日本の業界関係者の間では名前の知れた存在になっている。1時間という限られた時間では若干消化不良だったので、終了後、彼のところへ下りて行って少し話を聞かせてもらう。こうやってCEOの名刺を気軽にもらえて話ができるというのも日本の日常ではなかなかできない経験かもしれない。
「米国ではブロードバンドの普及速度がかなり緩やかだと認識しているが、Vonageにとって潜在市場を制限する要因になっているのではないか」
「いや米国でも2,400万のブロードバンド加入数があり、十分大きな市場だと思う」
「ただ日本や韓国に比べて普及率では大きく劣っているのでは」
「それはその通り」
「日本や韓国を初めとするアジア市場に進出することは考えているのか」
「既に考えている。まずは香港から入り、中国を目指す。その後、韓国、日本も必然的に参入することになるだろう」
「その場合、販売チャネルはどうするのか」
「Vonageは今やグローバルブランドになりつつあるから、自社でサービスを展開することも十分可能だが、既に顧客基盤を持っているパートナーを探すというのも現実的な考え方だろう」
「その場合、やはりケーブルテレビ会社を第一に考えているのか?既存電話会社は競合という認識を持っているか」
「いやそんなことはない。米国でYahoo!とSBCが提携しているように、既存電話会社とも十分協力していけると考えている」
彼は日本の市場にも精通しており(当然か)、Softbankグループ(Yahoo! Japan)の低価格戦略により既に日本では400万人のVoIP加入者がいるという話にも触れていた。少し話をしただけだが、器量が大きく、洞察に優れ、人間的にも魅力的な好人物という印象を持った。
そう言えばつい先日、FCC(米連邦通信委員会)のChairmanであるMichael Powellもダートマスにやって来た。彼はあのCollin Powellの息子でもあり、米国の通信市場を規制する機関のトップとして日本でも注目される人物である。しかしその日はどうしても外せない所用があり、残念ながら参加できなかった。それにしてもこんな辺鄙な田舎町に、こうした大物たちがわざわざ足を運んでくれるという事実を目にすると、米国におけるダートマス大学の伝統、重みを感じられて嬉しくなる。
Monday, April 19, 2004
Peer Review (Winter Term)
スタディグループのメンバーで相互評価を行う"Peer Review"の結果(冬学期)が返って来た。秋学期は目も当てられない同僚の評価にかなりダメージを受けたのだが(匿名ということもありコメントも結構容赦ない)、冬学期は予想以上に高い評価をもらうことができた。
MBAプログラムが始まる前に自己評価した点数とPeer Reviewの結果が指定されたウェブサイト上で棒グラフ表示されるのだが、元々の自己評価が「自分が日本でやって来たこと」をベースに採点していたので、かなり高い数値になってしまい、一方こちらでは思うようにできないことが多く、必然的に自己評価とPeerの採点が大きな乖離を示す結果になっていた。
にも関わらず、冬学期はその高い自己評価を更に上回る項目が複数あり、コメントもとても勇気付けられるものが多かったので、思わず感動してしまった。良い点としては「しっかり準備してグループに貢献してくれるし、良いパーソナリティを持っているので一緒に働くのはとても楽しかった」というコメントをもらった。逆に改善した方がいい点としては「議論がヒートアップすると発言が少なくなる傾向があった。恐らく彼の英語力に起因するものと思われるが、分からない時は分からないとはっきり言うべき」というコメントがあった。確かに途中から議論の流れが分からなくなってしまった時は、ほぼ「脳死状態」に陥ってしまうことがまだ何度かあった。
それにしても秋学期に比べてこの格段の進歩は、僕にとって極めて重要なターニングポイントである。特に毎日を供にしているPeerからの評価というのは、テストや教授からの評価よりも僕にとっては重みがある。Peerの信頼を裏切らないこと、信頼の輪を広げること。この積み重ねが僕の将来にとってかけがえのない財産をもたらすと信じて進んでいきたい。
MBAプログラムが始まる前に自己評価した点数とPeer Reviewの結果が指定されたウェブサイト上で棒グラフ表示されるのだが、元々の自己評価が「自分が日本でやって来たこと」をベースに採点していたので、かなり高い数値になってしまい、一方こちらでは思うようにできないことが多く、必然的に自己評価とPeerの採点が大きな乖離を示す結果になっていた。
にも関わらず、冬学期はその高い自己評価を更に上回る項目が複数あり、コメントもとても勇気付けられるものが多かったので、思わず感動してしまった。良い点としては「しっかり準備してグループに貢献してくれるし、良いパーソナリティを持っているので一緒に働くのはとても楽しかった」というコメントをもらった。逆に改善した方がいい点としては「議論がヒートアップすると発言が少なくなる傾向があった。恐らく彼の英語力に起因するものと思われるが、分からない時は分からないとはっきり言うべき」というコメントがあった。確かに途中から議論の流れが分からなくなってしまった時は、ほぼ「脳死状態」に陥ってしまうことがまだ何度かあった。
それにしても秋学期に比べてこの格段の進歩は、僕にとって極めて重要なターニングポイントである。特に毎日を供にしているPeerからの評価というのは、テストや教授からの評価よりも僕にとっては重みがある。Peerの信頼を裏切らないこと、信頼の輪を広げること。この積み重ねが僕の将来にとってかけがえのない財産をもたらすと信じて進んでいきたい。
ASW
Tuck恒例のASW (Admitted Students Weekend) が開催された。合格者たちがTuckを訪れ、3日間に渡って在校生やスタッフとのTuck体験を楽しむという一大イベントである。幸いこの春一番の天気に恵まれ、自然とみんなのテンションも上がってくる。僕たち日本人は二つのブースに分かれて「手巻き寿司」と「お好み焼き&焼きそば」をサーブする。僕は初めからほとんど戦力外だったので(ソースかけ担当)、適当に出歩いては、日本ブースに立ち寄ってくれるよう営業活動に勤しむ。
隣りはブラジルの皆さんだったのだが、全員サッカーの黄色い代表ユニフォームに身をつつみ、後ろには大きな国旗、ラテンの音楽をガンガン鳴らしながらダンスを披露している。奥様方に綺麗な人が多いことも手伝って、かなり華やかである。日本人の奥様方も負けず劣らず綺麗なのだが、僕たち男連中も含めて彼らのような陽気なノリにはどうしても一歩引けを取ってしまう。まあこればっかりは国民性の違いなので仕方がない。
その後、食事も一段落したので、持ってきたグローブとボールを持ってTuck Circleの芝生でK氏とキャッチボールを始める。本当に気持ちのいい気候だったので、多くの学生が芝生に寝転んですっかりリラックスムード。つい僕もそっちに入りたくなり、Luca, Carly, Carey, Andrewなど普段はあまりゆっくり話したことのない学生たちの隣りに腰を下ろす。最近始まったソフトボール大会の話(爆笑の連続)、夏の仕事の話、韓国や中国に行ったときの話(Andrew以外は日本に来たことがなく、是非行ってみたい国と言ってくれた)、映画の話などで小一時間ほど会話を楽しむ。
十代の頃に5年間日本(調布)に住み、六本木で豪遊していたという日本通のAndrewは"Lost in Translationは駄作だ。監督が日本のことを知らな過ぎる"と言い放っていた。Andrewはどちらかと言うと「すかしたアメリカ人エリート」「外国人なんて興味なし」という雰囲気で、まあ別世界の人と割り切っていたのだが、こうして話をしてみるとなかなかいい奴である。リトルリーグで野球をしていたという話でも共通項があった(守備は下手だから嫌いというのがいかにもアメリカ人らしい)。こういうことを経験する度にいつも自戒の念に駆られる。「人は見かけで判断しないこと」である。
さてそろそろ日本ブースに戻って片付けでも手伝うかと腰を上げると、今度はなぜかAssistant DeanのSteveとTomの立ち話に加わるはめに。Steveも普段はどちらかというと高圧的な態度で学生の評判もあまり良くないのだが、今日は「お、いいグラブ持ってんな。ちょっと貸してみろ。うん、なかなかいい形だ。ところでお前はメジャーリーグはどこのファンだ?」と聞いてくる。これは非常にトリッキーな質問である。なぜなら多くの学生やスタッフが熱狂的なレッドソックス派とヤンキース派に分かれているので、うかつに答えると大変なことになる。実際僕はチーム自体には拘りはないので、「日本人のいるマリナーズ、ヤンキース、メッツ辺りをどうしても応援しがちかな」と当たり障りない返事をする。
Steveも昔は野球をやっていたということで「俺もやりたいなー」と言い出し、「おい、日本人だけでメンバー集まるか?日本対アメリカって言うのはどうだ?」「集まるよ。それは望むところだね。でもアメリカ対インターナショナル・オールスターの方が盛り上がるんじゃない?」「そりゃいい案だな。Tom、ヨーロッパはどうだ?」「えー、ヨーロッパは… 俺とHugoとFlorianとJustusと…」(あまり野球ができそうなメンバーではない:笑)とにかく是非そのゲームは実現しようということで合意する。
すると今度はGretaがやって来て「あらRio、いいの持ってんじゃない?キャッチボールしようよ。ちょっと待ってて。私のグラブ持ってくるから」と言って去っていく。なかなか帰れない... Gretaは12歳まで野球をやっていたというだけあって、女性とは思えない肩の強さと正確な送球に驚かされる。一緒に入ったTomとAllanの方がよっぽど下手くそ(失礼)で、Tomは「なんでフライを取るときってこうグラブを上向きにする必要がある訳?」とナンセンスな質問をするし、Allanに至っては「どうやったらそういう速い球が投げられんの?投げ方が分からないんだけど」とGretaに聞く始末。
Tomは先日行われた最初の試合でもあまりに空振りを連発するので(ソフトボールなんですけど)、大丈夫かなーこの人と思っていたら、最後の打席で漸く芯でボールを捕らえ、僕が守っていたレフトの頭上を越える長打を放った。僕はTomのあまりの下手さぶりを皮肉って"Mr. Baseball"と名づけたのだが、Tomは全く悪びれることなく「最後の打席見ただろ?俺は何でもすぐに適応できるんだ」とすっかりご満悦である。
ちなみに僕はと言うと、野球経験者にも関わらず、最初の打席は山なりのボールを思わず引っ掛けてお約束のサードゴロ(一番やってはいけないミス)。が、終わってみれば2塁打2本を含む5打数3安打とまずまずの活躍。4打席目に思わず色気が出て振り回した結果、またサードゴロを打ってしまったが、最終打席はガラ空きのライト線に狙い通り落とせたので、随分勘も戻って来た感じ。初打席でいきなりホームランを打ったH氏とともに「日本野球ここにあり」をアピールできてほっとひと安心。いいスタートが切れたので次回からは落ち着いてもっといいプレーが出来ると思う。
隣りはブラジルの皆さんだったのだが、全員サッカーの黄色い代表ユニフォームに身をつつみ、後ろには大きな国旗、ラテンの音楽をガンガン鳴らしながらダンスを披露している。奥様方に綺麗な人が多いことも手伝って、かなり華やかである。日本人の奥様方も負けず劣らず綺麗なのだが、僕たち男連中も含めて彼らのような陽気なノリにはどうしても一歩引けを取ってしまう。まあこればっかりは国民性の違いなので仕方がない。
その後、食事も一段落したので、持ってきたグローブとボールを持ってTuck Circleの芝生でK氏とキャッチボールを始める。本当に気持ちのいい気候だったので、多くの学生が芝生に寝転んですっかりリラックスムード。つい僕もそっちに入りたくなり、Luca, Carly, Carey, Andrewなど普段はあまりゆっくり話したことのない学生たちの隣りに腰を下ろす。最近始まったソフトボール大会の話(爆笑の連続)、夏の仕事の話、韓国や中国に行ったときの話(Andrew以外は日本に来たことがなく、是非行ってみたい国と言ってくれた)、映画の話などで小一時間ほど会話を楽しむ。
十代の頃に5年間日本(調布)に住み、六本木で豪遊していたという日本通のAndrewは"Lost in Translationは駄作だ。監督が日本のことを知らな過ぎる"と言い放っていた。Andrewはどちらかと言うと「すかしたアメリカ人エリート」「外国人なんて興味なし」という雰囲気で、まあ別世界の人と割り切っていたのだが、こうして話をしてみるとなかなかいい奴である。リトルリーグで野球をしていたという話でも共通項があった(守備は下手だから嫌いというのがいかにもアメリカ人らしい)。こういうことを経験する度にいつも自戒の念に駆られる。「人は見かけで判断しないこと」である。
さてそろそろ日本ブースに戻って片付けでも手伝うかと腰を上げると、今度はなぜかAssistant DeanのSteveとTomの立ち話に加わるはめに。Steveも普段はどちらかというと高圧的な態度で学生の評判もあまり良くないのだが、今日は「お、いいグラブ持ってんな。ちょっと貸してみろ。うん、なかなかいい形だ。ところでお前はメジャーリーグはどこのファンだ?」と聞いてくる。これは非常にトリッキーな質問である。なぜなら多くの学生やスタッフが熱狂的なレッドソックス派とヤンキース派に分かれているので、うかつに答えると大変なことになる。実際僕はチーム自体には拘りはないので、「日本人のいるマリナーズ、ヤンキース、メッツ辺りをどうしても応援しがちかな」と当たり障りない返事をする。
Steveも昔は野球をやっていたということで「俺もやりたいなー」と言い出し、「おい、日本人だけでメンバー集まるか?日本対アメリカって言うのはどうだ?」「集まるよ。それは望むところだね。でもアメリカ対インターナショナル・オールスターの方が盛り上がるんじゃない?」「そりゃいい案だな。Tom、ヨーロッパはどうだ?」「えー、ヨーロッパは… 俺とHugoとFlorianとJustusと…」(あまり野球ができそうなメンバーではない:笑)とにかく是非そのゲームは実現しようということで合意する。
すると今度はGretaがやって来て「あらRio、いいの持ってんじゃない?キャッチボールしようよ。ちょっと待ってて。私のグラブ持ってくるから」と言って去っていく。なかなか帰れない... Gretaは12歳まで野球をやっていたというだけあって、女性とは思えない肩の強さと正確な送球に驚かされる。一緒に入ったTomとAllanの方がよっぽど下手くそ(失礼)で、Tomは「なんでフライを取るときってこうグラブを上向きにする必要がある訳?」とナンセンスな質問をするし、Allanに至っては「どうやったらそういう速い球が投げられんの?投げ方が分からないんだけど」とGretaに聞く始末。
Tomは先日行われた最初の試合でもあまりに空振りを連発するので(ソフトボールなんですけど)、大丈夫かなーこの人と思っていたら、最後の打席で漸く芯でボールを捕らえ、僕が守っていたレフトの頭上を越える長打を放った。僕はTomのあまりの下手さぶりを皮肉って"Mr. Baseball"と名づけたのだが、Tomは全く悪びれることなく「最後の打席見ただろ?俺は何でもすぐに適応できるんだ」とすっかりご満悦である。
ちなみに僕はと言うと、野球経験者にも関わらず、最初の打席は山なりのボールを思わず引っ掛けてお約束のサードゴロ(一番やってはいけないミス)。が、終わってみれば2塁打2本を含む5打数3安打とまずまずの活躍。4打席目に思わず色気が出て振り回した結果、またサードゴロを打ってしまったが、最終打席はガラ空きのライト線に狙い通り落とせたので、随分勘も戻って来た感じ。初打席でいきなりホームランを打ったH氏とともに「日本野球ここにあり」をアピールできてほっとひと安心。いいスタートが切れたので次回からは落ち着いてもっといいプレーが出来ると思う。
Monday, April 12, 2004
First Meeting with Our Client
TLFプロジェクトが本格的に動き出した。今日(4/9)は日系クライアント企業との初顔合わせで、インターンの面接が入ってしまったTeddyを除くメンバー5人でNYへ向かう。Ajiは「いつもドアツードアで4時間」と豪語していたので「どれだけ飛ばしてんだろ」と思っていたのだが、それほど飛ばさなくても4時間半で到着したので、NYは思ったよりも遠くない。特にマンハッタンに入る直前から急にスローダウンするので、マンハッタンの端までは実質4時間である。
まずはクライアントのショールームを見学。想像していたよりもかなり規模が小さく、僕としてはやや期待外れだったのだが、メンバーは(社交辞令かもしれないが)「この製品は素晴らしい」「アメリカはかなり遅れているみたいだな」などと前向きな言葉を口にしてくれた。
その後、メインオフィスへ移動して遂にクライアントと初顔合わせ。先方はMIT Sloan卒のSenior Vice President以下4名が参加して下さり、活発な意見交換が実現した。初めに僕がプロジェクトの概要を説明し、ひと通り自己紹介を済ませた後は、アジェンダに沿って質疑応答に移る。同じくMITでMasterまで取得している技術系バリバリのPratipが積極的に質問して議論を引っ張る。最初は遠慮もあったのか、借りてきた猫のように大人しかったAji, Tammy, Kimも中盤から議論に加わり、2時間があっという間に過ぎてしまった(Teddyがいたらもっと賑やかになっただろうと思うとちょっと残念ではあった)。
その後、クライアントの取り計らいでイタリアンレストランにご招待いただき、夕食をとりながら先方4名、Tuckies5名で親睦を深める。僕は隣に座ったAjiとクライアントのEd(日本在住経験がある日本語が堪能な米国人)、同じくクライアントのKさんと4名で話し込む。Edはつい3週間前にヘッドハントされたばかり、Kさんはトレーニーという形で期限付きでNYに来ているとのことだったが、二人ともとても気さく、かつ魅力的な方で、Vice PresidentのMさん、DirectorのSさんを含め、素晴らしいクライアントに恵まれたことを実感する。
皆、Times Square近辺に滞在または駐車していたので、帰りは5名で30分あまりの道のりをあれこれ話しながら歩く。Pratip、Tammyとはプロジェクトの方向性について、Ajiとはサッカーや選択科目について、Kimとは夏の過ごし方について話をした。初ミーティングがひとまず成功したという安堵感も手伝って、春の夜風がとても心地良い。メンバーの緊張感を高めるためにも早めにクライントとのミーティングを設定したいと思っていたのだが、時間に追われることなく、こうやって彼らとゆっくり話をする時間はこれまで持てていなかったので、そういう面でもキックオフに当って貴重な一日となった。
まずはクライアントのショールームを見学。想像していたよりもかなり規模が小さく、僕としてはやや期待外れだったのだが、メンバーは(社交辞令かもしれないが)「この製品は素晴らしい」「アメリカはかなり遅れているみたいだな」などと前向きな言葉を口にしてくれた。
その後、メインオフィスへ移動して遂にクライアントと初顔合わせ。先方はMIT Sloan卒のSenior Vice President以下4名が参加して下さり、活発な意見交換が実現した。初めに僕がプロジェクトの概要を説明し、ひと通り自己紹介を済ませた後は、アジェンダに沿って質疑応答に移る。同じくMITでMasterまで取得している技術系バリバリのPratipが積極的に質問して議論を引っ張る。最初は遠慮もあったのか、借りてきた猫のように大人しかったAji, Tammy, Kimも中盤から議論に加わり、2時間があっという間に過ぎてしまった(Teddyがいたらもっと賑やかになっただろうと思うとちょっと残念ではあった)。
その後、クライアントの取り計らいでイタリアンレストランにご招待いただき、夕食をとりながら先方4名、Tuckies5名で親睦を深める。僕は隣に座ったAjiとクライアントのEd(日本在住経験がある日本語が堪能な米国人)、同じくクライアントのKさんと4名で話し込む。Edはつい3週間前にヘッドハントされたばかり、Kさんはトレーニーという形で期限付きでNYに来ているとのことだったが、二人ともとても気さく、かつ魅力的な方で、Vice PresidentのMさん、DirectorのSさんを含め、素晴らしいクライアントに恵まれたことを実感する。
皆、Times Square近辺に滞在または駐車していたので、帰りは5名で30分あまりの道のりをあれこれ話しながら歩く。Pratip、Tammyとはプロジェクトの方向性について、Ajiとはサッカーや選択科目について、Kimとは夏の過ごし方について話をした。初ミーティングがひとまず成功したという安堵感も手伝って、春の夜風がとても心地良い。メンバーの緊張感を高めるためにも早めにクライントとのミーティングを設定したいと思っていたのだが、時間に追われることなく、こうやって彼らとゆっくり話をする時間はこれまで持てていなかったので、そういう面でもキックオフに当って貴重な一日となった。
Sunday, April 04, 2004
今週はSTECHのケースでGoogleとAdobe Systemsを扱う。Googleのケースは2004年3月にReviseされたもので、つい最近の情報までカバーされていたのでちょっと感動した。ケースと言うと多くは2001年以前、ひどいものになると1990年代のものが出てくる。構造やフレームワークを学ぶことに主眼が置かれているとは言え「情報が古過ぎてダイナミズムに欠ける。これがケーススタディの限界か」と思っていたところだったので、これには感心した。
Googleは今月と言われているIPOに向けて、矢継ぎ早に新サービスを発表している。Gmail(フリーメール)、Orkut(ソーシャルネットワーキング)、AdSense(アフィリエイト型広告プログラム)、Froogle(ショッピング・ディレクトリ)、更には僕が今使っている"Blogger"を提供しているPyra Networksの買収などである。これらは全て、Googleの強みである膨大なデータベースと検索技術(特許保有)をてこに「あらゆるものを検索する」という文脈で解釈することができる。またGoogleのユニークなカルチャー(全てのエンジニアは1週間に1日は自分のプロジェクトに時間を割くことが奨励されている)も絶え間ないイノベーションを可能にしている。
ただこうしたGoogleの動きによって、検索サービスの顧客であるYahoo!とMSNが脅威を感じ、Googleから距離を置こうとし始めている。Googleの収益源が主に広告と検索サービス(ライセンス)から成り立っていて、後者の多くが大手ポータルサイトから得られていると想定すると、Yahoo!やMSNの動きは決して無視できない。今後のGoogleの選択肢としては、(1)独自ニッチ路線の継続、(2)ポータルモデルへの転換、(3)大手ポータルへの身売り(Microsoftが有力)の三つが考えられる。いずれにしても一連の新サービスによってIPO価格は恐らくつり上がるだろう。その後はEXIT戦略として(3)のシナリオも十分に考えられる。
ここ数回のクラスは基本的に、日本でも有名な「イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン著)」と「ネットワーク経済の法則(カール・シャピロ著)」のコンセプトをベースにしているようだ。こと特定業界ネタに関しては、やはりプロフェッショナルに優るものはなく、ビジネススクールの優位性はあまり感じられない(当たり前ですね)。
Googleは今月と言われているIPOに向けて、矢継ぎ早に新サービスを発表している。Gmail(フリーメール)、Orkut(ソーシャルネットワーキング)、AdSense(アフィリエイト型広告プログラム)、Froogle(ショッピング・ディレクトリ)、更には僕が今使っている"Blogger"を提供しているPyra Networksの買収などである。これらは全て、Googleの強みである膨大なデータベースと検索技術(特許保有)をてこに「あらゆるものを検索する」という文脈で解釈することができる。またGoogleのユニークなカルチャー(全てのエンジニアは1週間に1日は自分のプロジェクトに時間を割くことが奨励されている)も絶え間ないイノベーションを可能にしている。
ただこうしたGoogleの動きによって、検索サービスの顧客であるYahoo!とMSNが脅威を感じ、Googleから距離を置こうとし始めている。Googleの収益源が主に広告と検索サービス(ライセンス)から成り立っていて、後者の多くが大手ポータルサイトから得られていると想定すると、Yahoo!やMSNの動きは決して無視できない。今後のGoogleの選択肢としては、(1)独自ニッチ路線の継続、(2)ポータルモデルへの転換、(3)大手ポータルへの身売り(Microsoftが有力)の三つが考えられる。いずれにしても一連の新サービスによってIPO価格は恐らくつり上がるだろう。その後はEXIT戦略として(3)のシナリオも十分に考えられる。
ここ数回のクラスは基本的に、日本でも有名な「イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン著)」と「ネットワーク経済の法則(カール・シャピロ著)」のコンセプトをベースにしているようだ。こと特定業界ネタに関しては、やはりプロフェッショナルに優るものはなく、ビジネススクールの優位性はあまり感じられない(当たり前ですね)。